こんにちは、歯科衛生士の園田です。
先月9月29日~10月01日の3日間開催された
第9回に参加してきました。
会場は、神奈川県横浜市です。
院長先生、歯科医師3人、歯科衛生士3人の計7人で参加しました。
「No Dentistry, No WeIIness!」継承と革新から創造する歯科の未来をテーマに様々な歯科の分野の話を聞くことができました。
全国から歯科医師や、歯科衛生士、歯科技工士等様々な職種が集まり、有名な講師の方々の話を聞くことができ、貴重な経験をすることができました。
3日間の開催のため、個々で興味がある講義を聞きましたが、
1日目はいなだ歯科クリニックの参加メンバー全員で
「PHIJの考える未来へ紡ぐ予防歯科医療」を受講しました。
PHIJ(Perio HeaIth Institute Japan)とは、世界水準の予防歯科の実現を目指す医療団体です。
むし歯や歯周病が出来てしまってから治療する
ではなく、
一生涯自分の歯で過ごすことができるように予防していくことが大切です。
その為には、
噛んだり飲み込んだりできるお口の機能の維持。
赤ちゃんの頃からの栄養の摂り方。
さらには、妊娠を迎える前からお口の健康状態、全身の健康にも目を向けることで、
その子の両親だけでなく、生まれてくる赤ちゃんの予防につながる・・・。
どのライフステージにおいても、悪くなってから治療では遅い。
悪くならないために、しっかりと予防していくことが大切ということを、再度確認できました。
~~~つづいて、歯科医師の坂本~~~
私が最も印象に残った講演は、
大阪大学 天野 敦雄 教授の
【歯周病はどうやって予防する?】でした。
次の診療から患者さんに是非話したいことや、臨床での治療法やお書きしたいことはたくさんあるのですが、まとめて書きます。
歯周病の原因はいろいろありますが、その一つがPg菌(ポルフィロモナス ジンジバリスを略してPg)です。
基本的には18歳以降に感染することが多く、歯周病菌の中でもかなり攻撃性の高い菌の一つです。
感染経路としては、『唾液感染』『パートナーからの感染』『ペットからの感染』などが主なものといわれています。
そして、人間の抵抗力が落ちている時や炎症が起こっている時、このPg菌は猛威を振るいます。
弱っているところを狙ってくる・・・
なんともおそろしい菌です。
Pg菌が活発に活動しないためには、口腔内の細菌を減らし、免疫力を高めることがとても大切です。
Pg菌は血液に含まれている <鉄> <たんぱく質>が大好物です。
歯茎から出血がでている状態が続くと、Pg菌が活発に活動し、歯周病が進行しやすい状況だといえます。
なので、歯医者にはなにか症状がでてからではなく、病原性をさげるために定期的なメインテナンスがとても重要です。
ちなみにですが、歯周病は薬でなおりますか?というご質問を時々伺います。
答えは『完全には治らない』です。
たとえ99%殺菌できたとしても細菌は1%でものこっているかぎり増殖を続け、やがては元の状態に戻ります。
また、歯周病によって失われてしまった、歯を支えるためのあごの骨は薬だけでは治療できないので、完全には治らないのです。
歯周病は、細菌だけでなく、生活習慣、遺伝、その他さまざまな理由でおこります。
しっかりとした予防を行うためにも、症状がでるまえに歯科医院を受診いただけると嬉しいです。
症状が出てる患者さんも、それ以上の進行をとめるためにも、できるだけ早く来院してください。
~~~最後に、歯科医師の穴田~~~
訪問診療に携わる事が多いため、訪問診療・高齢者診療を中心に受講しました。
その中でも印象深かった講演を2つご紹介したいとおもいます。
一つ目は、戸原 玄先生による講演
「口にとらわれない摂食嚥下の見方」です。
お口に関わる機能は、口の中だけではなく、全身の筋肉量や体幹と密接に関係しています。
例えば、一日の活動時間を18時間とした場合、
介護生活等で、ベッドに同じ体制のままで毎日4時間生活をすると、骨や関節、筋肉の付き方に影響が出始めます。
それに伴って、飲み込みにくい、硬いものがしっかり咬めないなどの機能低下が起こり、食形態にも変化が出始めてくるそうです。
さらに毎日6時間ベッド上で同じ体制のまま生活すると、体幹(姿勢を正常に保つ筋肉)に影響すると言われています。
体幹に影響が出始めると、起き上がった状態で食事をとることが困難となり、より体全体の筋肉量が低下することとなります。
我々歯科医師は、ついお口の中だけに注目しがちです。
また、介護に携わる方々は、体の機能に注目してしまうことが多いといわれています。
要介護者の身体の調子を整える事に必要なこと。
それはお口の事だけでなく、それを取り巻く舌や唇の力、そして全身の筋肉量を維持していくことが重要という事を学びました。
また、現在胃に穴を開けてチューブを通し、直接栄養を流し込む「胃ろう」という処置を受け、生活している方が全国に約10万人いると言われています。
そして胃ろうで生活している方は、毎年1万人ずつ増加しています。
口から鼻から栄養摂取が難しい場合の最終手段という認識が強い為、
胃ろう=良くないという先入観を持つ方も多いのではないでしょうか?
しかし、胃ろうがあるおかげで、再び明るく楽しい生活を送る事が出来ている方々もいらっしゃいます。
そのため、一概に良し悪しをつける事は出来ません。
しかし、最も満足感を得れる方法なにか。
それは、自分の歯でお口から食事を摂ること。
私はそう感じます。
その為にも口腔ケアだけでなく、お口の機能を低下させないための取り組みを強化したいと強く感じました。
二つ目は、前畑香先生の講演
「診療室、訪問歯科における知識とスキル」です。
入れ歯の洗浄剤には、2種類ある事をご存知でしょうか?
大きく分けて細菌の塊である歯石を取り除く酸性義歯洗浄剤。
着色系を取り除くアルカリ性義歯洗浄剤があります。
義歯を長く使用する為には、用途に応じて使い分ける事が重要になってきます。
しかし、
38.7%の方が清掃方法の指導を受けた経験がない。
22.8%の方が清掃方法が分からない。
合わせて61.5%の方が正しい清掃方法を知らないのです。
正しい清掃方法が実施できないと、作ってから5年以内に使用できなくなることがほとんどです。
入れ歯は作って終わりではありません。
作っていただいた後、定期健診で入れ歯の状態をチェックし、調整を行う事。
日々の正しい清掃方法を伝えて、より良い状態で使い続けていただく事が、私たちの使命であると改めて感じました。