歯周病とは?その原因と進行について

こんにちは。先月はむし歯についてお話ししましたが、今回は多くの成人が悩まされる「歯周病」についてご紹介します。歯周病は、痛みが少ないまま進行することが多く、自覚しにくい病気ですが、適切なケアとプロによる定期的なメインテナンスで防ぐことが可能です。

歯周病とは?

歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。
歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)が吸収されてしまい、最終的には歯を失う原因になります。
むし歯はある程度進行すると痛みが出ますが、歯周病は重症化するまでほとんど痛みがありません。
そのため、多くの方が気づかずに放置してしまい、進行してしまうことが多いのです。

実際、日本では30歳以上の成人の約80%が歯周病にかかっていると言われており、ギネスブックでも「世界で最も患者数が多い病気」として認定されています。ですから、特に自覚症状がないからといって安心せず、定期的なメインテナンス(定期健診)で歯周病の兆候をチェックすることが重要です。

また、歯周病が進行していくと、歯と歯肉の間に歯周ポケットという隙間ができてきます。
空気に触れることを嫌う歯周病の原因菌は、好んでこの歯周ポケットに住み着き、さらに活動性を上げ歯肉を傷つけていきます。
この歯周ポケットがお口全体に5mmほどの深さで存在し、上手くメインテナンスができずに炎症を起こしていた仮定します。
そうすると、歯周ポケットにできた傷の面積合計は、なんと手のひら大の大きさになるといわれています。

手のひら大の傷が、細菌に浸された状態で放置されている・・・と考えると、どれほど歯周病が危険な病気であるのか、ご理解いただけると思います。
もちろん、身体全体への影響が表れることは言うまでもなく、最近では心筋梗塞やアルツハイマー型認知症といった病気のリスクが増大することもわかっています。

引用:https://www.club-sunstar.jp/article/column/oral/2163/
クラブサンスター:歯周病とさまざまな病気の関係

 

歯周病の種類

歯周病は大きく分けて「歯肉炎」と「歯周炎」の2種類があります。

  • 歯肉炎: 歯ぐきだけに炎症が起こっている状態です。
    歯を磨いたときに出血があったり、歯ぐきが少し赤く腫れたりしますが、痛みはほとんどありません。適切なケアを行えば、早期に改善することが可能です。
  • 歯周炎: 歯肉炎が進行し、歯を支えている組織が破壊され始めた状態です。
    放置すると、歯ぐきから膿が出たり、歯がぐらつき、最終的には歯を抜かなければならないこともあります。

 

健康な歯肉は、歯と歯の境目の三角形の部分が

・きれいなピンク色

・引き締まった三角形

・表面にオレンジの皮のようなつぶつぶ模様(スティップリング)が見える

といった特徴があります。

 

状態の悪い歯肉になると、

・血の巡りが悪くなったようなくすんだ赤色

・赤く腫れた部分が見える

・ぶよぶよしていたり、ぷっくり膨らんだ三角形になっている

上記のような状態になります。

鏡をご覧いただいて当てはまるような項目があれば、歯肉炎・歯周炎の可能性があります。

引用:https://www.lion-dent-health.or.jp/hamigakids/children/picture_book_02_1/
ライオン歯科衛生研究所

 

歯周病が進行する原因

歯周病の主な原因は、歯と歯ぐきの間にたまる歯垢や歯石の中に潜む細菌。
その細菌の活動によって歯の周りで起きる炎症が原因です。

歯と歯ぐきの境目や奥歯の裏側など、歯ブラシが届きにくい部分には歯垢がたまりやすいです。
歯垢は細菌が活発に活動できる住処となり、歯の周りの組織に炎症が広がっていきます。
これが放置されると、歯ぐきの腫れや出血が見られるようになり、次第に歯槽骨が吸収されていきます。
また、喫煙やストレス、不規則な食生活も歯周病の進行を促進させる要因です。

最近では、糖尿病に罹患している場合、そうでない方と比較して歯周病が進行するスピードが速くなることが分かっています。
血糖値が高い状態が続くと、からだを守る免疫機能低下したり、代謝が低下するなどの影響が出ます。
そうすると、歯肉の周りで活動する細菌にによって作られた歯肉のダメージ(傷口)がうまく治すことができず、より歯周病が悪化しやすい状態となります。
同時に歯周病・歯肉の炎症が長期化すると、血糖値がうまくコントロールできない状態になってしまい、糖尿病も悪化してしまうのです。

つまり、歯の健康状態を見ているだけでは、歯周病の進行を食い止めることはできないのです。

引用:https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/040/01.html
国立国際医療研究センター糖尿病情報センター、歯周病と糖尿病の深い関係

 

歯周病の予防と治療

歯周病は早期発見・早期治療よりも、『症状が出る前に予防する事』が最も重要です。
痛みがないからといって放置せず、定期的に歯科医院でメインテナンスを受け、適切なブラッシング指導やクリーニングを受けることが必要です。
当院では、歯周病の状態を診査し、ブラッシングの指導から専門的な治療まで一貫してサポートしております。
症状が進行している場合には、歯周外科治療を行うこともあります。

まとめ

歯周病は、初期段階では自覚症状が少なく、気づいたときにはすでに進行していることが多い病気です。日常的なブラッシングやフロス(糸ようじ)だけでは予防しきれないこともあるため、定期的な歯科でのメインテナンスが非常に重要です。
健康な歯を保つためにも、ぜひ一度、当医院でチェックを受けてみてください。
歯周病が気になる方は、当院のスタッフまでお気軽にご相談ください。
専門的な治療で、皆様の口腔内の健康をサポートいたします。

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