お口の健康を守るために知っておきたい!歯周病と喫煙の深い関係

皆さん、歯周病と喫煙の関係についてどのくらいご存じでしょうか?

喫煙が肺などの身体に悪影響を及ぼすことは広く知られていますが、実はお口の中にも重大な悪影響を与えるのです。
たばこに含まれる煙には約4,000種類の化学物質があり、そのうち約200種類が有害物質、そして発がん性物質は約70種類にも上ります。
これらの有害物質が、お口の中にどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。

お口の中でのたばこの影響

まず、たばこを吸うと最初にダメージを受けるのがお口の中です。
煙の成分は口の中に入り、歯ぐきやお口の中の粘膜からも直接吸収されます。
喫煙が歯周病を引き起こすリスクは非常に高く、1日に10本以上の喫煙でリスクは5.4倍に。
10年以上喫煙を続けるとリスクは4.3倍に増加するとされています。

また、喫煙者は歯周病が重症化しやすいという問題もあります。

歯周病の初期症状として、歯ぐきの腫れや出血が一般的に見られますが、喫煙者の場合、ニコチンの影響で血管が収縮するため、これらの症状が抑えられることがあります。

「症状が抑えられる」と言われると良さそうに聞こえます。

しかし、症状が現れないために歯周病に気づかないままとなり、対策を取らないまま病状が進行してしまい、治療が遅れてしまうことが少なくありません。
治療を受けた場合でも、歯ぐきの回復は非喫煙者に比べて遅く、外科的な治療を行っても効果が出にくいのです。
さらに、治療後も喫煙を続けると、再び歯ぐきの状態が悪化する傾向があるため、歯周病の完治が難しくなります。

たばこに含まれる成分とその影響

たばこに含まれる成分は、口腔内にさまざまな悪影響を及ぼします。以下は、その代表的なものです。

  • 一酸化炭素:一酸化炭素は、血液中の酸素運搬能力を低下させ、歯肉や他の組織への酸素供給を妨げます。
    これにより、歯ぐきの健康が損なわれ、歯周病が進行しやすくなります。
  • ニコチン:ニコチンは血管を収縮させるため、歯ぐきへの血流が悪化し、歯ぐきが酸欠状態に陥ります。
    また、免疫機能を低下させることで、体全体の抵抗力を弱め、感染症やアレルギーが発症しやすくなる原因にもなります。
    さらに、線維芽細胞の働きを抑制し、組織の再生が遅れるため、外科手術後の回復も悪くなります。
  • タール:喫煙によって歯の表面に付着するタール(いわゆるヤニ)は、深刻な問題を引き起こします。
    茶色い色をしているため、歯の表面に付着すると、黄ばんだ色の見た目となってしまいます。
    さらに粘着質のタールにはニコチンを含みやすく、歯と歯ぐきの間に付着します。時間をかけて少しずつ歯肉や周囲の組織に染み込んでいきます。
    これにより、歯周病の進行がさらに加速します。

 

 

喫煙者と非喫煙者の違い

喫煙者と非喫煙者のお口の中は、その状態が大きく異なります。
喫煙者の歯はタールで茶色く着色し、歯ぐきは血流不足により暗い紫色をしていることが多いです。
さらに、歯ぐきが硬く、厚くなり、しなやかさが失われ、ゴツゴツした感じになります。
歯を支える歯槽骨もタバコの成分で炎症が続くことによって失われ、歯がぐらつくことも珍しくありません。
特に、歯槽骨の3分の2以上が失われた場合、歯は支えを失い、最終的には抜け落ちてしまうことになります。

受動喫煙の影響

喫煙者本人だけでなく、周囲の人々にもたばこは害を与えます。
受動喫煙は、他人のたばこの煙を吸い込むことで健康被害を受ける状態を指します。
特に、副流煙は喫煙者が吸い込む主流煙よりも毒性が強いことが知られています。
また、妊娠中の女性が受動喫煙することで、胎児や乳児にもニコチンの影響が及び、発育に悪影響を及ぼすリスクがあります。

禁煙の効果

歯周病を防ぎ、お口の中の健康を保つためには、禁煙が非常に効果的です。
禁煙することで、歯周病のリスクは約40%減少すると言われています。
また、長期間禁煙を続けることで、歯を失うリスクも大幅に低下します。
歯周病による歯の喪失を防ぐために、「もう遅い」と諦めるのではなく、今からでも禁煙を始めることが重要です。

禁煙を開始して数週間で、歯ぐきの免疫反応が回復し始めます。

1年後には、歯ぐきが本来の健康な状態に戻ると言われています。

つまり、たばこをやめることで、お口の中の健康は大幅に改善され、歯周病の進行も止めることが可能なのです。

まとめ

喫煙が歯周病に与える悪影響は明白です。
たばこはお口の中の健康を損ない、歯周病を悪化させる大きな要因となります。
歯周病の予防や治療を目指すのであれば、禁煙することが最も効果的です。
どうしてもやめられないという方は、禁煙外来で専門の医師に相談することをお勧めします。


たばこを吸わない時に出るイライラ感を抑える処方なども受けられることもあり、ご自身だけで禁煙に挑戦するより成功率を大きく上げてくれます。
当院のスタッフも、禁煙に関する相談に応じていますので、ぜひ一度ご相談ください。

禁煙は、いつ始めても遅すぎることはありません。

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