先月9月29日~10月01日の3日間開催された
第9回日本国際歯科大会2023の報告第2弾です。
第一弾については
上記よりご覧ください。
~~~歯科医師 山根~~~
「小児の食生活指導と口腔機能について」浜野美幸先生の講演のお話をいたします。
小児期において、食環境、食形態、正しい食べ方について食事時の「姿勢」から見ていくことが大事になってきます。
体に適した机、椅子の高さを見ていきます。
床に足をつけ座った時に肘と机の高さが同じになるのが理想です。
食事と姿勢は無関係のように思われがちです。
しかし、しっかりと足が地面についていない、踏ん張れない状態では、咬む力が発揮されにくい状態になります。
「正しい姿勢」を保つことのできる机や椅子を用意してあげることは、結果的に食生活や咬む力をはじめとする口腔機能に大きく影響するのです。
口腔状態に合わせて「正しい姿勢」で、一口に適した量で口を閉じてよく噛むことが大切です。
また、小さい時からの正しくない(早食いやかき込み食べ)食習慣は、成人になってからでは変えていくのが難しいと言われています。
「三つ子の魂百まで」といわれるように、小さいころの食習慣についても変えていくことは難しいのです。
なので早い段階で正しい食習慣を身に着けることが大切です。
我々歯科医療に携わる者は、診療で小児と接する際は視線を合わせて、優しい声で出来た時に褒めてあげること。
口腔内(むし歯や歯ぐき)だけを見るのではなく、小児の頃から正しい食習慣を指導することにより、健康寿命の増進につなげることができると学びました。
外木徳子先生の講演では「離乳食期の歯科の介入について」のお話が印象に残りました。
歯の萌出にも個人差があるため年齢だけを見てあげず、E(乳歯の一番奥の歯)が萌出するまでは大人と同じ硬さはすりつぶせません。
スプーンで切れるくらいの硬さにしてあげるなど、口腔内を確認して今の状態に合った食形態にしてあげることが大切です。
小児の診療では保護者の協力がとても大切です。
子育てを楽しみ、安心を与えられるような診療・アドバイスをすることが大切と学びました。
~~~歯科衛生士 前田~~~
私が今回受けたセミナーの中では、浜野美幸先生のお話がとても印象に残っています。
「適切な食生活は、正常な口腔機能を発達させる」という内容でした。
多くの方にとって健康な歯を保つことは、食事を楽しむためだけでなく、口の健康や全体の健康にも大きな影響を与えます。
口腔機能発達不全症は、最近注目されている歯科の重要なトピックの1つです。
口腔機能発達不全症とは、咀嚼、発音、舌の運動などの口腔機能の発達に問題がある状態を指します。
歯の状態だけでなく、お口全体の機能がしっかりしているかが大切なのです。
どれだけ綺麗な歯があったとしても、食べ物を噛む力、飲み込む力が備わっていないと、食事をすることができません。
食べこぼしが多い、物をうまく噛めないという高齢の方に対してサポートすることも必要です。
しかしそれ以上に、成長段階である赤ちゃんのときから、お口の機能がしっかりと発達するようにサポートしていくことがとても大切です。
赤ちゃんの時からお口の機能が正常に発達するように、その時期のお口にあった食べ物、食べ方がとても重要です。
例えば、乳歯が全部萌えそろって噛み合う前に、私たち大人が食べる固い食べ物を与えてしまうと、将来偏食だったり、よく噛まない子になってしまう可能性が高くなります。
また、舌には正しい位置があります。
舌の筋肉が発達していない場合や、舌で前歯を押す癖があると、正しくない位置に舌が留まった状態になります。
正しくない位置にあると
・歯並びが出っ歯になる
・下顎前突(いわゆる受け口)
・開口(前歯の部分だけぽっかり空間が開いて咬み合わない)
など、歯並びが悪くなってしまう原因となることがあります。
お口の機能により、歯並びも影響が出ることがあるのです。
そうならないためにも、「むし歯ができてから」ではなく、
「乳歯が萌えてきた」段階で歯医者さんに来ていただく。
そして、早い段階でお口の機能にも目を向けていく必要があると学びました。
定期健診に早すぎることはありません。
お子様がいらっしゃる方は、ぜひ早めの受診をお願いいたします。
~~~歯科衛生士 見船~~~
自分の中では診療を行う中で、歯周病治療に対する理解を深めたいと感じていました。
今回は、歯周病治療をテーマとする歯科衛生士さんの講演を選択し、聴講しました。
私が一番印象に残っているのは、
歯科衛生士の星﨑雅恵さんの「なんとなくを卒業!何を聞いて、何をみて、何をするの?理解して行うメインテナンス」という
題名の講演でした。
お話の中で、歯周病も糖尿病も一生付き合っていく病気ということ。
つまり完全治癒がない。
という内容が印象的でした。
歯周病は、歯を支える顎の骨が溶かされる病気です。
そのため元の完全な骨の状態に戻すことは不可能なのです。
私たち歯科衛生士は、患者さんのその時の口腔内を見るだけではだめ。
むし歯や歯周病に罹らないように、「長期間に渡ってサポートしていかなければならない」と改めて実感することができました。
手技が上手かどうかの経験を必要とする技術も、歯周病治療において歯科衛生士に必要なスキルの一つです。
しかし、それ以上に
診療する際の姿勢
施術を行うポジション
使用するスケーラー(歯石を除去する器具)が正確に研げているか・・・
技術以前に「基本を忠実に行うこと」がどれだけ大切なのかを知ることができました。
医院に戻ってから、学んだことを元に施術を行っています。
まだキャリアも浅く、思ったように出来ない事もありますが、「なぜ上手く出来なかったのか」を後で必ず振り返り、改善できるようにしています。
今回3日間のセミナーに参加させていただきました。
その中で、自分自身の日々の診療をもっとやりがいのあるものに、
また患者さんにより質の高い医療を提供していきたいと強く感じました。
今後も、患者さんへのより良い歯科医療提供のために常に知識をアップデートし、学びを続けていきたいと思います。