管理型歯科医師臨床施設とは厚生労働省が、2016年度に制定した新しい制度です。
これまで協力型歯科医師臨床研修施設として教育機関と連携し、歯科医師の臨床研修を3カ月~半年の期間に渡り実施し、2008年より11名の歯科医師の指導・育成を行ってまいりました。
今回管理型歯科医師臨床施設に指定されたことにより、1年を通じて当医院の教育管理・育成計画で臨床研修プログラムを実施できるようになりました。
1年間当医院での臨床経験を積んでもらう中で、医院の理念とする、『1本でも多くの歯を残す』『患者さんへ分かりやすく説明する』『通院しやすい医院を常に考える』という3つの理念を実施出来る、患者さんに寄り添った治療が行える歯科医師の育成を行ってまいります。
また、歯科医師を目指される皆様においては、地域に密着しながら、オールラウンドな診療知識を身に着けることのできる当医院での経験は、今後の歯科医師人生の中でも貴重なものになると思います。
『何のために働くのか?』『何のために歯科医師になったのか?』
その答えを一緒に探していければと考えています。
医療法人いなだ歯科クリニック
理事長 稲田 信吾
医療法人社団 いなだ歯科クリニック歯科医師臨床研修プログラム管理型
いなだ歯科クリニック歯科医師臨床研修プログラム管理型は、1年間の当クリニックでの研修と5日間の協力型(Ⅱ)臨床研修施設での病棟研修が可能なプログラムです。
在宅訪問に於いては、医科歯科連携の取れるシステム、バイタルリンクを使用した診療も実施しており、訪問看護での健康状態の確認や投薬状況を加味した、よりアドバンスな訪問診療を学ぶことも出来る体制が整っております。
また、協力型(Ⅱ)臨床研修施設と連携して5日間の研修として主に、口腔外科の病棟見学、オペ見学や麻酔科外来見学を通して全身管理も学ぶことが可能。加えて、いなだ歯科クリニック内で外部麻酔科医による静脈鎮静法を用いてのインプラントオペの全身管理の見学、居宅・施設で訪問診療を利用する有病高齢者の口腔ケア、全身管理および治療も行うため、より広範囲な全身管理についての知識習得が可能なプログラムとなっております。
なお、院長のほかに副院長、勤務医2名 計4名の歯科医師が在籍し、週に1度ドクターカンファレンスを行っています。そこで症例検討などを複数ドクターの意見を交えながら経験することができます。
医療法人社団 いなだ歯科クリニック
院長・理事長 稲田 信吾
指導歯科医の指導監督の下、上級歯科医による屋根瓦方式を基本とする。治療計画の確認、治療経過の確認については適時指導歯科医が直接行う。
歯科医師臨床研修管理委員会を設置し、プログラムの管理を行う。
歯科医師の卒後臨床研修における重要事項を審議決定する機関として、歯科医師臨床研修管理委員会を置く。
歯科医師臨床研修管理委員会は、当院の院長を委員長とし、副院長のほか、事務長、研修実施責任者、外部委員より構成し、円滑かつ効果のある臨床研修を行うため、年2回3月、7月に研修管理委員会を開催し、研修評価を行い、それに基づいて研修プログラムを協議、計画を立て、必要な修正を行う。更に歯科医師臨床管理委員会では、 臨床研修の指導、監督及び、到達目標の達成度、採用、中断、修了の評価等についても具体的に検討するものとする。
また、委員会メンバーが緊急にプログラムの協議・修正が必要と判断した場合、委員の過半数を招集し臨時の研修管理委員会を開催するものとする。
管理型臨床研修施設及び協力型(Ⅱ)臨床研修施設における指導歯科医のもとで、基本的な知識、手技並びに全身的な治療管理を習得させる。また医療事故への対応については、診療に関わる医療事故の主たる責任は主治医が負うが、研修歯科医は責任を自覚し、すべて報告をする。特に重大事故発生の場合は、直ちに指導歯科医に連絡し、その指示を仰ぐものとする。
1. 委員会は、委員の過半数の出席がなければ、開会することができない。ただし、事前に委任状の提出がある場合については、これを出席とみなすものとする。
2. 委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる
1. 研修期間は令和5年4月1日から令和6年3月31日までの1年間とする。
2. 管理型臨床研修施設(医療法人社団 いなだ歯科クリニック)
(1)研修期間:12か月
(2)研修内容:病棟研修を除く歯科医師研修全般(外来診療・訪問診療・歯科口腔外科等)
3.協力型(Ⅱ)臨床研修施設(赤穂市民病院もしくは朝日大学病院のうちどちらかを選択)
(1)研修期間:5日間
(2)研修内容:全身管理・病棟研修
・「歯科医師としての基本的価値観」、「資質・能力」、「基本的診療能力」、「歯科医療に関する連携と制度の理解」の4つの目標で構成。
また、「基本的診療能力」については、更に「基本的診療能力等」、「歯科医療に関連する連携と制度の理解等」の2つに分類し、それぞれの構成項目について具体的な到達目標と評価を示している。
研修期間内に、院内・院外にて全身管理の研修を行う
※協力型(Ⅱ)臨床研修施設で研修を行う場合の期間:5日
※居宅・施設への訪問診療研修は、週に5回行う居宅・施設訪問のうち1度を目安に指導歯科医と同行し、研修を行う
社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、社会の変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。
患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先するとともに、患者の歯の健康増進(QOL)に配慮し、患者の価値観や事故の決定権を尊重する。
患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いやりの心を持って接する。
自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。
医療・研究・教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。
患者さんにとって良質かつ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する。
最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、常に「なぜ?」の問いを持ち続ける。自らが直面する診療上の問題について、科学的根拠と自らの経験を加味し、解決を図る能力を身につける。
臨床技能を磨き、患者の苦悩や不安、考え・意向に配慮した診療を行う。
患者の心理・社会的背景を踏まえて、患者や家族と良好な関係性を築く。
医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し、連携を図る。
医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会に貢献する。
医学及び医療における科学的アプローチを理解し、常に「なぜ?」の問いかけの視点を持って取り組む。気付きから生まれる学術活動を通じて、医学及び医療の発展に寄与する。
医療の質の向上のために省察し、他の歯科医師・医療者と共に研鑽しながら、次世代の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。
下記項目における症例数のカウントにおいては、別添の評価シートによる3段階評価(優・良・可)において、『良』以上と判定した場合にのみ1症例とカウントする。
【一般目標】
患者の状態に配慮した、適切な歯科保健医療を提供するための医療面接、基本的な診察、検査、診断、診療計画立案に必要な知識、技能、態度を身につける。
【到達目標】
①患者の心理的・社会的背景を考慮した上で、適切に医療面接を実施する。
-良く傾聴し、患者の立場に立って悩みに共感しながら医療面接を行う。
②全身状態を考慮した上で、顎顔面及び口腔内の基本的な診察を実施し、診察所見を解釈する。
-問診票を確認し、全身状態を念頭に置きながら口腔内診察・頭頚部診察をを行い、その結果を解釈する。
③診察所見に応じた適切な検査を選択、実施し、検査結果を解釈する。
-唾液検査、パノラマ、口腔内写真、歯周基本検査、スタディーモデル等基本資料から患者の病状やリスク部位を読み解く。また、ダイアグノデントなどの追加検査の実施判断を行う。
④病歴聴取、診察所見及び検査結果に基づいて歯科疾患の診断を行う。
-病歴の聴取、検査資料に基づき、歯科疾患の診断を行う。また、糖尿病や高血圧等の歯科疾患リスクについて理解する。
⑤診断結果に基づき、患者の状況・状況を総合的に考慮した上で、考えうる様々な一口腔単位の診療計画を検討し、立案する。
-う蝕部位の保存修復を第一に考えるのではなく、病状の根源を分析し、最小限の侵襲性と長期にわたる保存性を考慮した計画を検討・立案する。
⑥必要な情報を整理した上で、分かりやすい言葉で十分な説明を行い、患者及び家族の意思決定を確認する。
-専門的な言葉を用いることなく、検査結果の説明と必要な処置について説明する。また、治療計画を事前に説明し、同意を得た上で処置を開始する
【一般目標】
日常臨床で高頻度に遭遇する歯科疾患や機能障害を有する患者に対して、適切に対処できるよう基本的な技能を習得する。
【到達目標】
①歯科疾患を予防するための口腔衛衛生指導、基本的な手技を実践する。
-ブラッシング指導、スケーリング【8症例】
②一般的な歯科疾患に対応するために必要となる基本的な治療、及び管理を実践する。
③基本的な応急処置を実践する。疼痛、義歯破損、補綴物の脱離、歯・口腔顎顔面の外傷等の応急処置を実践する。【5症例】】
④歯科診療を安全に行うために必要なバイタルサインを観察し、全身状態を評価する。
(有傷病者や静脈鎮静法時のパルスオキシメーター、生体モニターを用いた全身状態評価)【4症例】
⑤診療に関する記録や文書(診療録、歯科技工指示書等)を作成する。【D-1にて評価】
⑥医療事故の予防に関する基本的な対策について理解し、実践する。【5症例】
【一般目標】
全身状態には医療が必要な患者に対して、歯科治療を行う際の患者管理に関する知識・技能・態度を身につける。
【到達目標】
①歯科治療上問題となる全身的な疾患、(高血圧症・糖尿病・狭心症・不整脈・慢性肝炎・出血傾向のある患者・妊婦)服用薬等について説明する。
(口頭説明)【1症例】
②患者の医療情報等について、必要に応じて主治医等と診療情報を共有する。
(紹介状・診療情報提供書の作成、CT・パントモデータの保存方法等)【1症例】
③全身状態に配慮が必要な患者に対し、歯科治療中にバイタルサインのモニタリングを行う。
(有傷病者へのパルスオキシメーター、生体モニターを用い、全身状態のモニタリングを行う)【1症例】
④安全・安心な歯科治療を提供するために、静脈鎮静法・全身麻酔法の見学を行う。
a:歯科麻酔科と他科との連携(協力型(Ⅱ)臨床研修施設での病棟研修)
b:歯全身麻酔法(協力型(Ⅱ)臨床研修施設での病棟研修)
c:静脈鎮静法(医院内でのインプラントOP時での見学)
【C-7.病棟研修・全身管理にて評価】
⑤歯科診療時の主な併発症や偶発症への基本的な対応方法を実践する。
(浸潤麻酔後・抜歯後の気分不良患者へのバイタルサインの確認、またはそのロールプレイング)【1症例】
⑥入院患者に対し、患者の状態に応じた基本的な術前・術後管理及び療養上の管理を実践する。
(入院患者に療養上の留意事項を説明し、周術期口腔機能管理を行う。)【1症例】
【一般目標】
患者の状況やライフステージに応じた安心・安全な歯科医療を適切に実践する。
【到達目標】
①妊娠期、乳幼児期、学齢期、成人期、高齢期の患者に対し、各ライフステージに応じた歯科疾患の基本的な予防管理、口腔機能管理について理解し、実践する。
②各ライフステージ、及び全身状態に応じた歯科医療を実践する。
【妊娠期、乳幼児期、学齢期、成人期、高齢期、それぞれで①と②の両方を実践して10症例として数える】
③在宅療養患者等に対する訪問歯科診療を経験する。
(週に5回行う居宅・施設訪問のうち1度を目安に指導歯科医と同行し、研修を行う)【2症例】
④障害を有する患者への対応を実践する。
(当医院を利用する知的障碍を有する患者への対応の実践)【1症例】
【一般目標】
自ら行った治療の経過を観察評価するために、診断および治療に対するフィードバックに必要な知識、態度及び技能を習得する。
【到達目標】
①治療の経過を評価する。【1症例】
②予後を推測する。【1症例】
③自ら行った症例に対するプレゼンと事後抄録発表(3月中旬ごろ実施)【1症例】
【一般目標】
高度で先進的な医療を行うために必要な専門知識や技術を理解する。
【到達目標】
①専門的分野の知識を収集する。【任意参加】
②専門的な分野を体験する。
a:インプラント
b:CAD/CAM
c:ブラケット・床を用いた歯列矯正
d:切開を伴う水平埋伏智歯抜歯
【a~dより2つ選択し、実施。2症例】
【一般目標】
多職種と連携を取りながら、患者の全身管理を行うことができる。
【到達目標】
①医科歯科連携を含めた多職種連携による患者対応の体験【2症例】
②入院患者の周術期口腔ケア・術後口腔リハビリの体験【2症例】
③手術室での歯科口腔外科・全身麻酔処置と手術見学【1症例】
④入院患者の歯科治療【1症例】
⑤全身管理研修
患者への術前問診・説明の実施と、全身麻酔法・静脈鎮静法時の全身管理【4症例】
【一般目標】
歯科保健医療を行うにあたって、歯科衛生士、歯科技工士等の歯科専門職の役割を理解し、連携を図る。
【到達目標】
①歯科衛生士の役割を理解し、予防処置や口腔衛生管理等の際に連携を図る【1症例】
②歯科技工士の役割を理解し、適切に歯科技工指示書を作成するとともに、必要に応じて連携を図る【1症例】
③多職種によるチーム医療について、その目的、各職種の役割を理解した上で、歯科専門職の役割を理解し、説明する。【1症例】
【一般目標】
地域包括ケアシステムにおける多職種連携による、質の高い歯科保健医療を提供するための歯科医師の役割に関する知識・技能・態度を修得する。
【到達目標】
①地域包括ケアシステムについて理解し、説明する。【1症例】
②地域包括ケアシステムにおける歯科医療の役割を説明する。【1症例】
③がん患者等の周術期等口腔機能管理において、その目的及び各専門職の役割を理解し、周術期等口腔機能管理計画を立案する。【1症例】
④入院患者の入退院時における多職種支援について理解し、参加する。【C-7.病棟研修・全身管理にて評価】
⑤訪問歯科診療の実施にあたり、患者に関わる医療・介護関係職種の役割を理解し、連携する【1症例】
【一般目標】
歯科医師の地域公衆衛生に果たす役割を理解し、地域歯科保健活動に参画するための知識、技能、態度を修得する。
【到達目標】
① 地域の保健・福祉の関係機関、関係職種を理解し、説明する。【1症例】
② 保健所等における地域歯科保健活動を理解し、説明する。【1症例】
③ 保健所等における地域歯科保健活動を経験する。
-市区町村が実施する1歳6か月歯科健診、3歳児健診、乳幼児歯科相談等に指導医とともに同行。【1症例】
④ 歯科健診を経験し、地域住民に対する健康教育を経験する。【1症例】
【一般目標】
各種の医療法・歯科医師法及び関連する医療保険制度の目的やシステムを理解し、適切な歯科保険診療を実践する。【到達目標】
①医療法や歯科医師法をはじめとする医療に関する法規及び関連する制度の目的と仕組みを理解し、説明する。【3症例】
②医療保険制度を理解し、適切な保険診療を実践する。【10症例】
③介護保険制度の目的と仕組みを理解し、説明する。【4症例】
歯科医師臨床研修の到達目標を達成するために、研修歯科医一人当たりに必要な症例数の合計を104症例としている。また、研修期間中に経験することを目標とする研修歯科医一人当たりの症例数(目標症例数の合計)は120症例としている。
必要な症例数104症例については、症例数評価用紙にて最終評価を行う。症例数評価用紙については、最低限の症例数の記録であるため、必要な症例数を超えた場合は、ポートフォリオに日報などを利用して保管する。
症例とは患者に対して実践することとする。
症例数表の各枠には、研修歯科医が症例を実施した後に指導歯科医から評価を受けた日時及び指導歯科医の捺印を記録すること。すべての枠が埋まる事で、当医院の研修プログラムの到達目標症例数を達成したとみなす。
C.基本的診療業務
D.歯科医療に関する連携と制度の理解
プログラム評価項目の各項目に設定された到達目標について、研修歯科医の自己評価(3段階)及び指導歯科医による客観的評価(3段階)を行う。自己評価および客観的評価は『良』以上を修了判定の基準とする。
歯科医師、歯科衛生士、コ・デンタルスタッフを含めた360度評価(研修歯科医適正評価も含む)を実施し、『良』以上を修了判定の基準とする。また、必要な症例数の達成を修了判定の基準とする。歯科医師臨床研修管理委員会は、到達目標の達成や臨床歯科医としての適性の評価・討議し、最終的に歯科医師臨床研修管理委員会が研修終了を認定し修了証を授与する。
医療法人社団 いなだ歯科クリニック
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