親知らずという言葉を耳にしたことはありますか?
これは、誰もが一度は直面するかもしれない歯の問題の一つです。
この記事では、親知らずの基礎知識から、抜歯の必要性やタイミングについて詳しく解説します。
そもそも親知らずとは?
親知らずは、大臼歯(奥歯)の中で最も後ろに位置する歯で、前歯から数えて8番目の歯にあたります。
歯科医院では親知らずのことを「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」や「智歯(ちし)」と呼んだりもします。
永久歯が生えそろうのは一般的に15歳ごろですが、親知らずはその後、10代後半から20代後半にかけて生えてきます。
名前の由来については、「親に知られることなく生えてくる」という説が広く知られています。
昔は、15歳になると子どもは親元を離れることが多く、「親が知らないうちに生えてくる」ことが由来だと言われています。
親知らずの生え方には個人差がある
親知らずは必ずしも上下左右の4本生えてくるわけではありません。
その人の顎の骨格や体質により、以下のようなバリエーションがあります。
- 4本すべてが正常に生える場合
- 一部の親知らずだけが生える場合
- 親知らずが歯茎の中に埋まったまま出てこない場合
- 親知らず自体が存在しない場合
親知らずの存在や状態を正確に把握するには、歯科医院でのレントゲン撮影が有効です。
明治よりも近代においては、食事の欧米化が急速に進み、パンや小麦食などの「やわらかい食事」が増えてきました。
その影響で「噛む」機会も少なくなっていき、顎が小さくなります。
そして一番最後に生える親知らずの収まるスペースがなくなり、最近では親知らずが存在しないケースが増えてきているといわれています。
親知らずは抜いた方がいいの?
「親知らずが生えてきた」と聞くと、すぐに「抜かなければ」と考える方もいるかもしれません。
しかし、親知らずが正しい位置と向きで生えており、十分なブラッシングができる場合、無理に抜く必要はありません。
一方で、次のようなケースでは抜歯が推奨されることがあります。
1. むし歯のリスクが高まる場合
親知らずが斜めに生えたり、一部だけ歯茎から出ている場合は、歯ブラシが届きにくく、むし歯になりやすいです。また、親知らずと手前の歯(第二大臼歯)の間に汚れが溜まりやすく、手前の歯にむし歯が広がることもあります。特に第二大臼歯は噛み合わせにとって重要な歯なので、守るためにも親知らずの状態を注意深く観察する必要があります。
2. 歯肉の炎症(智歯周囲炎)
親知らず周辺の歯肉に炎症が生じることを智歯周囲炎と呼びます。
これは、親知らずの位置や生え方が不完全である場合、歯と歯肉の間に汚れが溜まりやすくなることが原因です。
症状が進行すると、歯肉が腫れたり痛みが出たりするほか、重症化すれば口が開きにくくなることもあります。
このような場合、炎症を軽減させた後に、抜歯を行うことが一般的です。
3. 歯根の吸収
親知らずが手前の歯に食い込むように生えてくると、手前の歯の根が溶けてしまう「歯根吸収」を引き起こすことがあります。
この状態が進行すると、親知らずだけでなく手前の歯の抜歯が必要になる場合があります。
抜歯のタイミングは?
親知らずの抜歯に適した時期は、20歳前後です。
この時期には、親知らずの歯根が完全に形成される前であり、骨も柔らかいため、抜歯が比較的スムーズに進むことが多いです。
術後の腫れや痛みも軽減されやすく、回復も早い傾向があります。
一方、30歳以降になると、歯根が完成しているため、下歯槽神経に近い場合はリスクが高まり、術後の負担も増加します。
抜歯が必要な場合は、早めの対応をおすすめします。
親知らずに悩んだら歯科医院へ相談を
親知らずが原因で痛みや腫れがある場合、または状態が気になる場合は、歯科医院で相談しましょう。
レントゲン撮影を通じて状態を確認し、必要に応じて専門の口腔外科で抜歯を行うことができます。
当医院で抜歯可能なケースもほとんどですので、気になる方は一度ご相談ください。
原則即日での抜歯は危険なため、あらかじめ資料をお取してからの抜歯とさせていただいておりますので、ご了承ください。
親知らずの管理は健康な歯を守るために重要です。
定期的な歯科検診を受けることで、親知らずの問題を早期に発見し、適切に対処することが可能です。