口腔ケア・嚥下部会研修会に参加してきました!

こんにちは、歯科医師の新保です。

3月9日、たつの市はつらつセンターで行われた口腔ケア・嚥下部会研修会に工藤、坂本、穴田、勝谷、久保、桑田、山本、大釜で参加してきました。

内容は

・「摂食嚥下障害とリハビリテーション」について

兵庫県立西播磨総合リハビリテーションセンター 加藤純一先生

・「おいしく食べて元気に長生き」について

木村奈津子管理栄養士

上記の2つでした。

難しそうな内容でしたが高齢化に伴い私達が生活する中で知っておきたい事、食事の大切さについて学んできたので内容を少しご紹介します。

まずは加藤先生の「摂食嚥下障害とリハビリテーション」についてです。

高齢者の特徴として嚥下(飲み込み)障害、誤嚥があります。

食生活では若い頃よりも噛む力、飲み込む力が徐々に衰えてきます。

ささいな変化なのでなかなか気付きにくいです。

のちに病気などをきっかけに介護状態になってしまう事も少なくなく誤嚥性肺炎も引き起こします。

「飲み込みだけでそこまで?」

と思われるかもしれません。

肺炎の症状もパッと思いつくような事だけではありません。

食欲がない、食事中むせることも症状に含まれるそうです。

心当たりはないでしょうか?

また、介護状態になる原因で脳血管疾患による割合が高い事をご存知でしょうか?

この疾患は、患者の50%以上が飲み込みの障害を起こしてしまう状態に陥ります。

そうなってしまっては、今まで出来ていた満足な食事はできなくなります。

まして肺炎になったら大変です。

今はむせたり、気になる症状がない方でも、飲み込む力が衰えていないか簡単なテストでチェックすることができます。

まずは30秒間で唾液を何回飲み込めるかやってみてくだい!

3回以上できたら問題ありません。

3回未満だった方は少し心配かもしれません。

飲み込む力が衰えて深刻な事態になる前に、当医院にご相談ください。

また、食事中にむせやすい方は、ちょっとしたコツでむせにくくできます。

姿勢を意識して食べることです。

椅子に90度に座り少しアゴを引いて食べ物を迎えにいかないようにすると良いそうです。

90度が難しい時はクッションなどを入れてください。

これで誤嚥予防につながります。

次の管理栄養士の木村さんが講演した「おいしく食べて元気に長生き」についてです。

管理栄養士さんの講演を、初めて拝聴させて頂く機会だったので、興味深々でした。

なによりシニア世代にとっては、メタボよりオーラルフレイル(お口の機能の衰え)対策が重要。

食べ過ぎてしまうことよりも、食べられないことで身体全体の機能が低下し、やがて要介護状態となってしまう危険が潜んでいるのです。

オーラルフレイル対策に重要なことは、

①体重の減少に気を付ける

(意図せず6カ月で2~3㎏体重が減少していると心配です)

②しっかり咬める

③1日3回の食事でバランスよく食べる

この3つが大切です。

特に興味深かったことが、「②しっかり咬める」ことの重要性についてでした。

とても分かりやすい例として、

ハンバーグ定食の写真を

・普通食

・きざみ食(食べやすいように細かくブロック状に刻んだもの)

・ペースト食(食品の水分量をできるだけ減らしてつぶしたもの)

でそれぞれどのような状態になるのかを見せてもらいました。

普通食とペースト食の見た目の違い驚きました。

http://hohrainosato.com/chubou/?m=201807 より引用させていただきました。

右下ミキサー食がペースト食とほぼ同義です。

ペースト食は、ミキサーにかける前に、できるだけ水分を減らす調理を行ったものを指します。

普段何気なく行っている食事ですが、見た目からくるイメージというのは本当に大切なのだと思い知らされました。

実際にペースト食に切り替わると、食欲が下がってしまう方は多いようです。

また、もちろんのことですが、しっかりと咬んで食べるものではありませんので、食感はどの食材でもほとんど一緒になってしまいます。

さらに驚いたのは、ご飯とおかゆは同じ茶碗1杯の量でも、摂取できるカロリーはご飯の方が2.5倍も多いということです!!

https://health2sync.com/ja/blog/rice-porridge-diet/ より引用させていただきました

裏を返せば、咬めなくなったからといってご飯がおかゆになっただけで、

必要なカロリーを接種するために、2.5倍の量を食べなければならなくなるのです。

そして最後に最も驚いたことは、口から食事を摂取できなくなり、点滴から栄養を摂る状態になった時のお話です。

唐突ですが、みなさんはおにぎり1つを何分で食べられますか?

健康であれば5分もあれば食べ終わり、消化・吸収していくはずです。

しかし、おにぎり1つ分の栄養を点滴でとろうとすると、なんと3時間もかかってしまうのです!

しっかり咬める状態を守ることが、我々歯科医師の責務ですが、あらためてその責任の大きさとやりがいを実感する1日となりました。

生涯健康でなんでも食べれるよう、フレイル対策・飲み込みにも改めて意識を向けてみてください。

「最近飲み込みが気になる・・・」

「食事中にむせることが多くなった」

など、気になることがあれば是非ご相談ください!

早期に取り組むことで、進行を防止するだけでなく、低下した機能を取り戻すことも可能な場合が多いです。

いつでもお気軽にご相談ください!

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