こんにちは。歯科衛生士の勝谷です。
10月13日、14日に長崎県長崎市で、第66回秋季日本歯周病学会学術大会が開かれました。
前回の学会に続き今回も院長先生、歯科衛生士の久保さんと3人で参加しました。
今回の学会のメインテーマは「グローカルな歯周治療」と題し、海外からも講師の先生がお見えになり講演がありました。
※グローカルとは、世界規模という意味の「グローバル」と地域規模という意味の「ローカル」を組み合わせた造語です。
世界規模での考え方を持ちながら、地域活動に貢献するという意味の言葉です。
歯周病は、高齢者を中心に世界中に蔓延した人類共通で対処すべき疾患です。
しかし、実際の歯周治療にあたっては地域に密着したテーラーメイドの治療が必要です。
広く世界の歯周治療に目を向けるとともに、地域医療に密着した歯科医師、歯科衛生士、疫学専門家よりそれぞれの地域社会での歯周治療への貢献についての貴重なお話がありました。
その中でも私が一番印象に残った講義は、「歯科衛生士が知っておきたい洗口剤の応用」について、鶴見大学歯学部の五味先生のお話でした。
これまで歯周病の予防や治療は、歯ブラシ等を用いた機械的なプラーク(歯垢)除去が主体であり、殺菌薬等を用いた化学的な方法はあまり推奨されてきませんでした。
この間に歯ブラシ習慣は大きく改善し、現在では1日2回以上歯を磨く人が75%を超えるようになったそうです。
これに伴い歯を有する高齢者数は増加し、80歳で20本以上の歯を有する人は現在51.6%に達しています。
図1 1人平均現在歯数の経年推移
しかし、スウェーデンでは80%以上の高齢者が20本以上の歯を有していることから、さらなる努力が望まれます。
このように、残存する歯は少しずつ増加していますが、残存した歯の状態を見ると、4mm以上の歯周ポケット(正常値は3mm以下)を有する者の割合は年代が上がるにつれて増加しており、65~74歳は最も高い56.2%、75歳以上では56.0%でした。
図2 歯周ポケット(4mm以上)を有する者の割合の経年推移
つまり歯は残っているものの、その多くが歯周病に罹っているということです。
一方で、15~24歳においても、4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合が2割程度存在しています。
歯周病の症状が出てからではなく、なるべく早期からの歯周病対策が引き続き重要であることが改めてわかりました。
また、口の中には100億の細菌が生息し、歯には25%、舌や粘膜には75%が付着しているといわれています。
最近では、歯周病が細菌感染症であるという面から、抗菌薬を用いた効果的な歯周治療が行われるようになってきました。
洗口剤を活用することにより効果的にプラークを除去、減少させるには殺菌薬等の併用は極めて効果的です。
洗口液や抗菌剤を活用した歯周病の予防、重症化予防も重要であると学びました。
市販で購入できる
「マウスウォッシュ」は、口をすすぐだけでOKです。
「デンタルリンス(液体歯磨剤)」は、ブラッシングをすることで効果を発揮するように設計されているので、ブラッシングが必要です。
また、「医薬品」はイソジンやネオステリンなどの、病気の治療を目的とした物。
そして、医薬部外品」は、予防、衛生を目的とした物として区別されており、医薬部外品は医薬品よりも人体への作用は弱いです。
ちなみに商品パッケージに記載されている「薬用」は医薬部外品となります。
洗口液を活用することで、プラークの形成を抑制、口腔全体の細菌数の減少、口臭予防、感染防止などの効果が得られること、そして効果的な洗口剤等の選択や使用法の理解を改めて学びました。
現在、セルフケアで洗口剤をお使いの方や使い方がわからない方も気軽に歯科衛生士にご質問ください。